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【サークル活動報告】美術鑑賞サークル: 第28回美術鑑賞イベント(10/13)

皆様、こんにちは!


美術鑑賞会のちーです。


東京自習会、美術鑑賞サークルにて、10/13(月)祝日に新宿のSOMPO美術館にて開催中の「モーリス・ユリトロ」展を鑑賞に行きました!


目次


  1. サークルの概要

  2. イベントの様子

  3. 感想

  4. 今後の活動予定

  5. 参加はこちら!


1.サークルの概要


月に一回程度、皆で都内の美術館の企画展を見に行くサークルです。


西洋絵画の展覧会が多めですが、日本美術、現代アート、映画鑑賞、まち歩きなどの活動もたまに行っています。


鑑賞後は、気に入った作品を発表したり、希望者でカフェで歓談を行っています。

普段美術館にはあまり行かないという方も多くいらっしゃいますので、勉強の息抜きにお気軽にご参加ください。


またサークル登録がないコミュニティーメンバー以上の方のご参加もいつでも大歓迎です!


2.イベントの様子


今回は7人で、新宿のSOMPO美術館で開催中の「モーリス・ユリトロ展」を見に行きました!


館内は写真撮影可能な作品も多く、おかげで後から気に入った作品を眺め雰囲気に浸ることもできました。


ユリトロは20世紀前半エコール・ド・パリと呼ばれた時代のパリを描いた風景画家です。


ユリトロは、モデルであり画家であった母ヴァラドンの元に生まれ、絵筆を持ったきっかけはアルコール依存症の治療のためという、なかなか苦しい人生を送ってきた画家かと思います。


ですが、彼の描いたパリの街並みは、心落ち着くような穏やかな色合いで描かれ、ユリトロが生まれ育ったパリの街並みに、こちらまで懐かしさを感じてしまうような美しさを感じました。


展覧会の最初は、ユリトロが治療の一環として書き始めた頃の作品から始まりました。


個人的には、あんまり上手くない!?なんて思ってしまいましたが、そこから持ち前の色彩センスを生かし上達していく様子を見ることができました。


ユリトロ《マルカデ通り》(1909年、名古屋市美術館)
ユリトロ《マルカデ通り》(1909年、名古屋市美術館)

初期の作品で気に入ったのは《マルカデ通り》(1909年、名古屋市美術館)です。


今回のポスターにもなっている作品です。


パリのうねった石畳の道の先に視線が誘導され、その先の景色を見るためにズンズン歩いて進んでみたくなるような気分になる作品でした。


落ち着いたトーンの色彩でまとめられ、人物も彼方にしか見えないことから、パリの喧騒は聞こえず、遠くの馬車が走る音だけが聞こえてきそうです。


私はパリには行ったことはないのですが、思わず憧れてしまうようなパリ街角の魅力を描き出しているように思いました。


ユリトロ《ラパン・アジル》ポンピドゥーセンター
ユリトロ《ラパン・アジル》ポンピドゥーセンター
《ラパン・アジル》(1913年、名古屋市美術館)
《ラパン・アジル》(1913年、名古屋市美術館)

続いては、《ラパン・アジル》(1910年、ポンピドゥーセンター)(1913年、名古屋市美術館)シリーズです。


ユリトロはこの場所を気に入って、何度も描きました。


それらが3点、写真と共に並べられており、間違い探しのような気分で、比べて楽しめるようになっています。


「この作品が一番好き!」、「季節が違うのかも」、というように参加者同士の会話も弾みました。


写真を見ると、ユリトロが実景に忠実に描いていることが分かります。


ユリトロは、現地には行かず写真だけで描くこともあったのですが、こちらは実際に何度も足を運んでいただけあり、木々や空の様子が書き込まれ、季節ごとの街の空気が伝わってきます。


先ほどの作品と同様に、奥へと続く坂道に引き込まれるような感覚を覚えるのは、ユリトロらしい魅力だと思います。


ユリトロ《可愛い聖体拝受者、トルシー=アン=ヴァロワの教会(エヌ県)》(1912年、八木ファインアート・コレクション)
ユリトロ《可愛い聖体拝受者、トルシー=アン=ヴァロワの教会(エヌ県)》(1912年、八木ファインアート・コレクション)

私が一番気に入ったのは、《可愛い聖体拝受者、トルシー=アン=ヴァロワの教会(エヌ県)》(1912年、八木ファインアート・コレクション)です。


ユリトロとしては珍しく、少し凝ったタイトルになっているのは、母ヴァラドンが夢に見た聖体拝領を受ける少女が元になっているためだそうです。


初めて聖体拝領という儀式に臨む際は白い服装を身にまとうことから、その様子と白い教会をかけた作品となっています。


白い漆喰の素朴な教会から、純白の衣に身を包んだ小さな女の子が儀式に臨む様子が連想されます。


ユリトロが20代の1910年前後に白を基調とした作品が増え、これを「白の時代」と呼びます。


この作品もちょうどその時代を代表とする作品の一つで、質感を出すために石膏や砂を絵の具に混ぜて描いたそうです。


白い漆喰の表現にこだわったのは、ユリトロが幼い頃に、壁の漆喰のかけらで遊んでいた思い出から来ています。


ユリトロにとって、白い漆喰の壁のある風景は郷愁を誘うものでした。


そのような懐かしさが込められて描かれたからこそ、私たちもユリトロの描くパリの絵に親しみを感じるのかもしれません。


タイトルとともに、神秘的にこじんまりと佇む教会の姿が印象的な作品でした。


3.感想


鑑賞後は、参加者同士で感想を語り合いました。


私は、穏やかな色彩とパリのオシャレな街並みが日本人ウケしていると思っていたのですが、実物を目にすると、白い壁や輪郭線のうねりから日本の陶磁器を思い起こしました。


だから、ユリトロの絵はどことなく、馴染み深く感じるのかもしれません。


また、最後の章に映像作品があり、ユリトロが晩年に出演した映画が紹介され、メガネをかけた穏やかそうな老人がパリの街中で絵を描く姿がわずかな間映し出されていました。


こういうものは初めて見たという感想が多く、生涯にわたって精神を病んでいたユリトロも、50歳を過ぎてから結婚し晩年なってようやく幸せを手に入れたようでホッとする思いでした。


前回の企画がゴッホ展、かつ、今回もSOMPO美術館の常設展示としてゴッホのひまわりが展示されていましたので、ゴッホとユリトロは同じく精神を病んでいたのに、ゴッホは30代で自害した一方、ユリトロは長生きして穏やかな老後を手に入れられたね、という話題になりました。


ユリトロの絵は20代の頃から売れはじめて、すぐに評価が得られたことが大きな違いかな、と思いました。


ゴッホは生前に売れた絵画が一枚だけだった事に比べると、ここはかなり大きな違いかなと思います。


ユリトロは人気画家になる事で、精神を病む度に心配した周囲に病院に入れられ、時には軟禁時状態におかれ、絵を描かされ続けることにはなるのですが…


どちらの方が幸せだったのかはわかるはずもありませんが、パリで生まれ育ったユリトロが描いた街並みは、これからも人々の郷愁を誘い続けることでしょう。


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今回もその後は希望者5人でランチに行きました!


私が企画をするのは最後だとアナウンスしていたので、2年近くぶりに参加してくださった方がいて嬉しかったです。


ランチ会で自習会の他サークルとコラボしようという話も出ましたので、今後ファシリテーターを代わって行なってくださるhoshinoさんには新しい風を吹かせて頂くことを期待しています!


2021年から4年間で28回、鑑賞会を行いました。


これまで参加してくださった皆様には大変感謝しております。


本当にありがとうございました。


様々な分野の勉強に励む、東京自習会の皆から大きな刺激を受けつつ、美術の感想も語り合えるのがとてもよかった、など参加者の皆様から感想をお伝え頂くことが大きな励みになっており、そのおかげで今まで続けられました。


美術鑑賞サークルはこれで終わりではなく、ファシリテーターをバトンタッチし、来月も続きますので、引き続き東京自習会の皆様のご参加お待ちしております!


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4.今後の活動予定


次回は下記を予定しています。


  • 11/9(日) 三井記念美術館 円山応挙展

  • 12月 国立西洋美術館 オルセー美術館所蔵 印象派展?


※変更になる可能性があります


参加申込みはこちら!


参加をご希望の方は下記のリンク先から参加方法をご確認の上、お申込み下さい。


開催予定のイベントを確認されたい方は、下記のリンク先からご確認下さい。


ご質問やご相談も公式ラインで受け付けていますので、お気軽にお問合せ下さい。(24時間以内にご返信致します。)


あなたのご参加お待ちしています(*'▽')





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