【サークル活動報告】美術鑑賞サークル: 第27回美術鑑賞イベント(9/21)
- tss 東京自習会
- 10月5日
- 読了時間: 8分
皆様、こんにちは!
美術鑑賞会のちーです。
東京自習会、美術鑑賞サークルにて、9/21(日)に上野の東京都美術館にて開催の「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」展を鑑賞に行きました!
目次
サークルの概要
イベントの様子
感想
今後の活動予定
参加はこちら!
1.サークルの概要
月に一回程度、皆で都内の美術館の企画展を見に行くサークルです。
西洋絵画の展覧会が多めですが、日本美術、現代アート、映画鑑賞、まち歩きなどの活動もたまに行っています。
鑑賞後は、気に入った作品を発表したり、希望者でカフェで歓談を行っています。
普段美術館にはあまり行かないという方も多くいらっしゃいますので、勉強の息抜きにお気軽にご参加ください。
またサークル登録がないコミュニティーメンバー以上の方のご参加もいつでも大歓迎です!
2.イベントの様子
今回は合計6人で美術館を楽しみました。
東京展の会期は9/12〜12/21と始まったばかりでしたので、まだ予想ほどの混雑ではなく充分見て回ることができました。
まずはゴッホと弟のテオが収集した同時代の画家の作品や浮世絵の展示からスタートし、初期のオランダ時代から亡くなる間際のゴッホの作品、それから甥っ子が設立したファン・ゴッホ美術館の同時代画家の収蔵品が展示され、最後にはイマーシブ・コーナーが設けられ、展示されていないゴッホの代表作も含め楽しむことができました。
また、ところどころに、ゴッホが残した沢山の手紙から引用したフレーズや絵画をわかりやすく紹介している映像コーナーがありました。
人だかりができていたので、足早に通り過ぎてしまいましたが、もったいないことをしました。
今から鑑賞する方は、ぜひ足を止めて見てください。
3.感想
今回お目当てにしていた作品が2点ありました。
そのうち一点が《種まく人》(1888、ファン・ゴッホ美術館)です。

こちらの作品は、ゴッホと弟テオが収集していた作品群の最後、浮世絵コーナーのあとに今回の展覧会のゴッホの最初の作品として展示されていました。
まさか一番初めから、クライマックス!?の作品を持ってくるなんて!と意外に思ってしまいました。
ゴッホがミレーの同名の作品に倣って描いた物なのですが、農村で生きる人に思いを寄せたゴッホの理想や、かつてキリスト教伝道師を目指していたゴッホの宗教観・生き方といったものがダイレクトに伝わるこの作品は、主題的にも「ゴッホは沢山の種(作品)をまいてこの世を去っていきました…」というイメージが自分の中にあったからです。
ちなみに同じタイトルでもっと明るい《種まく人》(1888、クレラー・ミュラー美術館)も存在します。

今回は日本の浮世絵と並んで展示されていたので、ますます今回展示の作品は、浮世絵そっくり!!と思わされる仕様でした。
梅の木(にしか見えないのですが、フランスに梅はきっとないですよね…)が、画面を縦断する大胆な構図、目立つ輪郭線や比較的平坦な色面は、そのまま浮世絵の特徴です。
ゴッホの精神世界(キリスト教由来)を日本的表現で描こうとしてみた、という一見アンマッチに思えなくもない作品なのですが、ゴッホは手紙で「ああ、僕も数本の線だけで人物を描けるようになりたい」(会場のキャプションより)、と書いていることから、ゴッホの理想や思いそのものが反映されている作品と言えるでしょう。
そう考えると、ゴッホは結構生き生きとしながらこの作品を描いたのかなとも思います。
私がこの作品で一番目を惹かれたのは、大きく真ん丸な黄色で描かれた太陽でした。
太陽を背に逆光の中で、力強く種をまく農夫、最初は梅の木や農夫に目が行きますが、その背景で輝く大き過ぎるほどの太陽を無視することはできません。
この太陽には、そのまま眩しいほどの生命力を感じさせられます。
その太陽を背に労働する農夫、それは尊いことだけれども、苦痛を伴うことでしょう。
彼の表情は逆光の中でうかがうことはできず、ただ太陽があまりにも大きく眩しいために、自分はどうしても生きることの辛さみたいなものを感じてしまいました。
ただ、種まく農夫の力強い腕、眩し過ぎる太陽に、強い生命力を感じました。
ゴッホはきっと自分を鼓舞するためにも、この一枚を描いたんじゃないかなと思いました。
ところで、会場にいると、近くから「浮世絵とは似てない!」という感想が聞こえてきて意外に思いました。
確かに厚塗りの油絵だから、だいぶコッテリとはしてはいるけれども笑。
人の感想は色々だなぁと改めて思いました。
皆様は《種まく人》を見てどう思われましたでしょうか?

続いても今回のメイン、《画家としての自画像》(1887-88、ファン・ゴッホ美術館)。
人だかりができていたので、解説はスマホで読んでから、じっくり実物を鑑賞することができました。
今回の展覧会、会場入り口にQRコードがあり、スマホで会場内の解説は全部読めるようになっているので、今回のように混雑している展示では大変便利でした!
眺めた後、近くにもう一つ解説があり、そこではゴッホの死の数ヶ月前に初めてゴッホに会った、弟テオの妻ヨーの言葉が紹介されていました。
ゴッホの耳切り事件、そこからの精神病院への入院…などの義兄の様子を聞かされていたであろうヨーですから、きっと恐る恐るといった感じでしょう…実際にゴッホに会ってみると、想像と違い、健康でたくましい印象を受けたそうです。
そして、どの自画像よりもこの自画像こそが、その時のゴッホに一番よく似ていると語ったそうです。
そのため、「皆さんはどう思いますか?」というような説明書きを読んで、もう一度引き返して作品を眺めました。
私には、顔色が悪くひきつっていて、まだ30代とは思えないほど老けているなぁ…という、ヨーとは真逆の印象でした。
実は、人だかりができていたこともありますが、この自画像のゴッホの表情が少し怖くて、割とすぐに最初はその場を離れてしまったくらいです。
ゴッホ本人も、この自画像の自分の表情について、「生気がなくこわばっていて、赤ヒゲが伸びたまま物悲しい」と書き記しています。
やっぱり自分でもそう思っていたのか!と思わず納得してしまいました。
ここでも、人の感想はそれぞれだよなぁ、と改めて思ってしまいました。
ヨーの気持ちを想像すると、病気がちで入院していると聞いていたけれども、実際会ってみると、如何にも大柄なオランダ人男性でとても病弱そうには見えない…
ゴッホは気性が荒い人物であったと評される一方、自らは人が好きで近寄っていきたい性格だという印象を私は受けるので、大好きな弟が結婚した奥さんには、少しでも愛想良く振る舞おうとしたんじゃないかな、と勝手に想像しました。
ゴッホは弟テオや友人の画家とのやり取りした手紙が大量に残されており、だからこそこのようなエピソードとともに鑑賞を楽しむことができます。
弟テオは、ゴッホの死から一年も経たないうちに後を追うように病死しており、残されたゴッホの作品は、ヨーと甥っ子が相続し、ゴッホの名を世界に広め、現代へと残してくれました。

展覧会の最後に設けられていたイマーシブ・コーナーでは、ゴッホの代表作の映像とともに、ヨーが赤ん坊を抱く写真、そしてオランダでファン・ゴッホ美術館を設立し、赤ん坊からすっかりお爺さんになった甥っ子の笑顔の写真が映し出されていて、感慨深い思いでした。
映像には、甥っ子の誕生を祝って弟テオに贈った有名な《花咲くアーモンドの木の枝》(1890、ファン・ゴッホ美術館)もあり、以前子どもが生まれた友人にこの絵の複製を贈ろうかと思ったのですが、ゴッホは自害しているし縁起が悪いかなと思い直したことがあります。
ですが、甥っ子が笑顔でこんなに長生きしたのだったら、プレゼントすればよかったなと余談ですが思いました。
ここまでで、ゴッホの作品は2点しか取り上げられていないのですが、他にも素晴らしい作品はありましたので、気に入ったものをいくつか挙げておきます!



《グラジオラスとエゾギクを生けた花瓶》(1886、ファン・ゴッホ美術館)、《モンマルトル:風車と菜園》(1887、ファン・ゴッホ美術館)、《耕された畑(「畝」)》(1888、ファン・ゴッホ美術館)
いずれもゴッホの色彩センスの良さと、自然や田園風景への愛情を感じさせられます。

最後に今回も鑑賞後はランチに行きました!
学生さんやそれくらいの若い方が多めでしたが、一方で大きなお子さんがいらっしゃる方だったり、何だかんだ色んな世代の方とお話しすることができ、楽しかったです。
またご参加頂けることを楽しみにしております♪

4.今後の活動予定
次回は下記を予定しています。
10/13 SOMPO美術館 ユリトロ展
※変更になる可能性があります。
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