【本の感想・レビュー】フランスの高校生が学んでいる哲学の教科書|おくいさん
- tss 東京自習会
- 6月30日
- 読了時間: 4分
更新日:7月27日
こんにちは!
ファシリテーターのおくいです。
今回は「フランスの高校生が学んでいる哲学の教科書」を読みましたので、その感想とレビューを書きました。
目次
本の概要
選書理由
印象的な部分や場面
学んだことや気づき
感想・評価
1.本の概要
著者のシャルル・ペパンさんは、フランスで哲学の授業を担当し、エッセイや小説を多数執筆されている人物です。
本書は、フランスの高校生向けに書かれた哲学書となっています。
従来の哲学書とは一線を画し、古典的な哲学書からの引用も短く要点のみに留め、日常生活と乖離しない実践的な哲学を目指している点が特徴的です。
読者自身が考える力を養うことに重点を置いた構成となっており、各章では身近な例や問いかけを通じて、哲学的思考を促す工夫が随所に見られます。
著者自身も「この本は考えるための教科書であり、生きるための教科書でもある」と述べています。
2.選書理由
最近読書量が減っていると感じ、毎週2冊程度の新しい本を読もうと書店を訪れた際に手に取りました。
特に哲学に深い関心があったわけではありませんが、何か考えるきっかけになればと思いました。
哲学は学校教育でも学ぶ機会が少なく、実生活で必要に迫られることも稀ですが、教養として身につけておけば様々な場面でつながりが見えて役立ちそうだと考えました。
フランスの高校生向けで、日本の書籍とは異なる新鮮な視点が期待できること、高校生向けで読みやすそうな印象を受けたことも理由です。
3.印象的な部分や場面
特に印象深かったのは、「本当になりたいものは何なのか、どうすればわかるのか」という問いに対する哲学的な解答でした。
多くの人は、哲学者にこうした質問をすれば内省や論理的考察を推奨され、「自分で深く考えて答えを出せ」と返されると思うかもしれません。
しかし、著者はそれは誤解だと明確に述べています。
デカルト、ヘーゲル、アラン、サルトルなど、多くの哲学者が共通して主張するのは、「それを知るには行動を起こすこと」であり、「その選択が正しいかを知るには、まず一つ選んで歩き出すしかない」ということです。
なぜなら、考察だけですべての問題を解決できるわけではないからです。
「結局どの選択肢が正解なのか断定できないが、それでも決めなければならない。意志の力で決断するのだ」という部分も印象的でした。
4.学んだことや気付き
「どんな人を哲学者と呼ぶのでしょう。普段の生活のちょっとした出来事にいちいち腹を立てずにいられるのが哲学者なのかな」という問いへの回答も印象的でした。
著者は、それは違うと明確に否定します。
哲学が単に物事に動じない心や執着からの解放でしかないなら、哲学者が願望を捨てた賢人でいられた方が楽かもしれませんが、実際は異なるとのことです。
日常のちょっとしたネガティブな出来事について考えることと、哲学者が取り組む深い問いは全く別物だと思われがちですが、その考え方こそが問題であり、「最大の疑問は日常のこうした騒乱の中にこそ隠れている」と述べられています。
ネガティブな出来事に限らず、日常生活で深く考えることこそが哲学に繋がっていくのだと気づかされました。
5.感想・評価
一般の人が抱きそうな疑問に対して、哲学の視点からわかりやすく解答している箇所が多く、身近なところに落とし込まれた本でした。
哲学を身近に感じ、考えるきっかけを与えてくれる一冊だと思います。
特に印象的だったのは、本書の終盤で語られる哲学書との向き合い方です。
「哲学の名著は読みにくいものが多いが、むしろすべてを理解できないものこそが面白い」というところが印象的でした。
著者からのアドバイスとして、「難しすぎると思っても読み続け、すべてを理解することは無理だとあきらめ、ほとんど理解できなくてもそれを受け入れること。それが本当の意味での哲学的な経験であり、わずか3行でも理解できればそれを喜べばいい」という言葉が心に残りました。
すべてを覚えることは不可能なので、少しでも次につながるような気づきを得られれば良いという気持ちで、今後も哲学の本に挑戦してみたいと思います。
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